フィギュアスケート界では、演技に使用する音楽の著作権処理を競技者自身が行うよう求めるISU規定「ルール131」が存在する。しかし、複製権・演奏権・公衆送信権・著作者人格権など、膨大な支分権を個人で処理するのは現実的ではない。
町田樹さんは「このルールは有名無実化しており、著作権侵害のリスクを高めている」と指摘。実際、ISU主催の大会では数千曲が使用されているが、事前に許可を得ているケースはごくわずかだという。
🎤ボーカル曲解禁がもたらした著作権リスクの拡大
2014-2015年シーズンからボーカル入り楽曲の使用が解禁され、ポップスやロックなど著作権が消滅していない楽曲が多く使われるようになった。これにより、著作権処理の必要性が急増。
しかし、業界内では著作権啓発も不十分で、権利侵害時のリスクマネジメントも構築されていない。結果として、著作権問題が頻発するようになった。
⚖️北京五輪で実際に起きた著作権訴訟
2022年北京冬季五輪では、米国代表ペアが使用した楽曲に関して著作権者が訴訟を起こす事態に。NBCなど放送事業者も巻き込まれ、最終的には和解に至ったが、フィギュア界に大きな衝撃を与えた。
📈国内外で続く著作権トラブル
鍵山優真選手がエキシビションで使用した楽曲に対し、1回につき約12万円の使用料を支払った事例や、中井亜美選手、西野太翔選手が著作権の都合で楽曲変更を余儀なくされたケースも報道されている。
海外でも、カナダ代表マデリン・シザース選手が『ライオンキング』の楽曲使用を断念するなど、著作権問題は国境を越えて広がっている。
🚨著作権侵害がもたらす2つのリスク
使用差し止め請求:シーズン途中でも音楽使用が禁止される可能性あり
損害賠償請求:本来の使用料以上の金額を請求されるケースも
著作権侵害は、スケーターと権利者双方に大きなダメージを与える。町田氏は「著作権問題は誰にでも起こり得るリスク」と警鐘を鳴らす。


























